カヌースプリントハンドブックやトリンプシステムとは?使いやすさは?どういう内容?
「これはね、本音なんだけれどね、自分はセンスがないのよ。だから工夫していろんなことを考えながら、たくさん練習をしなきゃいけないんだよね。」
フランクなトーンでお話を聞かせてくださったのは、今年の2月に還暦を迎えた刈屋剛さん。
2022年のワールドマスターズゲームズに向け、毎日、練習に励んでいます。
カヌーホームでは、以前もお話を聞かせていただきました。
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毎日、近所の川へ漕ぎに行き、雨の日は銭湯で体をリラックス、日々開催される講習会や大会へは積極エントリー。
カヌーホームで発信しているハンドブックやマスターズの講習会も、積極的にご参加・ご活用いただいています。
今回は、トレーニングにご利用いただいているツールや講習会についてお話を伺いました。
江盛(以下『江』)「まず、カヌースプリントハンドブックSTEP1の内容はいかがですか?」
刈屋さん(以下『刈』)「今まで、網羅的にまとめてある資料がとても少なかったので、これはとっても良いですね。目指すべきものがこれですよ、とドンと書いてあるのでわかりやすいと思います。」
江「そうですね、FTEM(エフテム)という指標に沿って作成していて、目標タイムの目安も設定しているので、レベル感はわかりやすいと思っていただけるかもしれませんね。」
刈「はい、目標設定に続く内容で、1年間の大会スケジュールというのがありますが、これはもしかしたらハンドブックの最後にあるといいのかなと個人的には思いました。
ハンドブックを読み進めて、最後に『じゃあ、これ全部を踏まえて、どの大会を目標にしようかな』と考えるとスムーズな気がします。PDCAの『A』にあたる部分だから、最後でもいいかな?」
江「確かに、そうですね……! このハンドブックでは、目標タイムと合わせて、大会の出場目安を書いていましたが、より具体的にイメージするには、まず目標タイムに向けてどんなトレーニングが必要か、どんなことができるようにならなくちゃいけないか、内容を知って最後にじゃあ目指す大会、とつながるとハンドブックを読み終えた時点でアクションを起こしやすいですね。」
刈「あとは、このハンドブックを読んでいて、テクニックのところをもっと知りたい、とみんな思っているだろうから、バイオメカニクス的な内容、どこの筋肉を使うとか、より具体的に落とし込んであるといいかなと思いました。」
江「そうですね。基本的には、まずはしっかりベースとなる体力をつけることやバランス能力をきたえることが大事っていうことがあって、テクニックについても、あまり細かいことを書くというより、このハンドブックではあくまで大枠の内容を書いています。
そして、ハンドブックSTEP2の段階で、テクニック専門のハンドブックも出しています。ですが、刈屋さんがおっしゃる通り、テクニックについて知りたい、というお声はたくさん頂くので、とっかかりの部分をもう少しわかりやすくする必要はありそうですね。」
刈「ハンドブック内容の分量のバランスは難しそうですよね。ぜひよろしくお願いします!
あとはずっと気になっていることがあって。ドーピングやサプリに関する記述があると良いのではないでしょうか。ドーピングの知識はもちろんですが、サプリメントの摂取にも十分注意をしないといけないし、そういった知識を、保護者やコーチに対しても持ってもらうのは大切かなと思います。とくに、自分が目指しているワールドマスターズゲームズも、ドーピング検査の対象です。たとえば一発決勝というレースが多ければ、対象になる選手も多いですしね。」
江「確かに、ドーピングの情報については、なかなか普段から接することが少ないので、基本的な知識を一文入れておくのは大事でしょうね。実際、私も自分自身が選手としてドーピングのことを気にしたことはなかったのですが、スタッフとして海外の大会に帯同した際、常備薬なども含めて各選手がすべて自身で準備をするものだということを、そこで初めて知りました。ぜひ、今後のハンドブック作成・リライトの参考にさせていただきますね。」
刈「それから、関連してトリンプシステムね。これはね~、日本中のコーチが『なるほど~』と感じるんじゃないかと思います。特に、高校生を中心とした現役世代を主にメニューが組んであると思います。」
(※トリンプシステムは、トリンプ<TRaining IMPulse=トレーニング刺激量>という指標を用いて練習メニューの組み立てを行えるシステムで、寄付会員様限定の特典コンテンツです)
江「そうですね、早朝・午前・午後を想定して、乗艇やウェイトトレーニング、ランニングなどのメニューをカスタマイズして入力できるようになっていますね。」
メニュー例 ↓
刈「ただ、自分自身、自分用のメニューを作ってやってみたのですが、結構ハードで、体調を崩してしまって。だから、良かったらマスターズ選手や小学生の選手にはこういうトレーニング、と専用のものがあればより実態に即した使い方ができるんじゃないでしょうか。
江「確かに、今のシステムは、メニューを選ぶと合計のトリンプ(※トレーニング刺激量)が算出されるので、その合計数値を70%にして小学生のメニューを組む、などとできますが、カスタマイズができすぎて、自由度が高すぎると、メニュー組身の負担は大きくなってしまうので、刈屋さんのおっしゃるようにまず選択式で、ある程度の型が表示されるようなものができると、より広範囲で皆さんに活用していただけそうですね。」
刈「そうそう。初めに『マスターズ選手』などと入力すると、マスターズ選手用のメニュー構成が選べるようになっているような形があると、組み立てがしやすくなって、練習への励みになります。それに、FTEMのF層の人たちも届くようになって、生涯スポーツとしてのつながりも増して、若い子にも刺激になって、結果的に競技人口も増えていくかなあと思います。」
江「本当ですね。どんな形でそのシステムを作ることができるか、実装に向けて、また考えさせていただきます!」
江「刈屋さんには、昨年11月に実施したマスターズ講習会にもご参加いただきました。そちらはいかがでしたか?」
(※昨年11月に開催)
刈「あのときは、少人数で実施されて参加できたので、ものすごく緊張していましたが、とても学びがありました。」
江「そうなんですね!緊張されていたのですね。」
刈「緊張していましたよ~。特に2日目の水上講習の時間は、マンツーマンだったので、水上に出てから一回沈するまでガチガチで。一回落ちてからは吹っ切れました。笑
カヌーをこれまでやってきている人にとって、ワンプラスな内容でもありましたし、これから始める人にとってもいいかなと思いました。」
江「そう言っていただけて、ありがたいです。あのときは告知から実施までが短かったこともあって、参加者一人一人との時間が長く取れましたね。オンライン受講の方もいて、三密は避けつつ、時間は濃密に。笑」
刈「そうでしたね。ただやっぱり対面で受講して教えてもらうのが、とっても良いですよね。。難しいところですが。今回は埼玉県での開催でしたが、関西以西のかたにとっては参加が難しいでしょうし、できれば、関西やいろんなところで開催してもらえたら参加する人も増えるんじゃないかなあ。あとは、事前に許可取ってからにはなりますが、参加者が大人だけなので、実施している様子を写真や動画でもっと紹介するのもやりやすいと思うので、そういうのでイメージが伝わると、より盛り上がると思います。」
江「確かに…! そうですね!!大人が本気で楽しくやっている姿って、大人同士にとっても良い刺激ですし、それこそ若い人たちに、結局一番伝わると思います。次回開催はそこを厚くしていきましょう。」
刈「ぜひ、また秋ごろに開催をお願いします! それと、これはね、本音なんだけれどね、自分はセンスがないのよ。だから工夫していろんなことを考えながら、たくさん練習をしなきゃいけないんだよね。カヌーホームのハンドブックやレクチャーを通じて、いろんな気付きを得ることができています。そしてまたカヌーを頑張ろうって思わせてもらっています。」
江「そんなそんな……!こちらこそいつもご参加・ご活用、本当にありがとうございます!」
刈「一層、カヌーを好きにさせてくれてありがとうございます。」
江「本日は、お話を聞かせていただきありがとうございました!」
***
今回、刈屋さんのお話を通じて、たくさんのポジティブなご意見に感謝しつつ、いただいた改善点を踏まえて、講習会やハンドブックなどをアップグレードしていきます!
今後の情報もぜひぜひチェックよろしくお願いします!
参考:
・カヌースプリントハンドブックSTEP1:無料公開中。下記ページよりダウンロードができます
・カヌースプリントハンドブックSTEP2
・カヌースプリントテクニックハンドブック
・トリンプシステム
:こちらについては、カヌーホームへの継続ご寄付登録者の皆様への特典としてご案内しています。
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◆ご紹介 刈屋剛(かりや つよし)さん
神奈川県藤沢市在住、現神奈川県カヌー協会副理事長。シーカヤック、サーフスキー、アウトリガーカヌーに取り組むうちに、スプリントカヌーの魅力を知る。
関西ワールドマスターズゲームスが2022年(※当初は2021年開催予定)に開催されることを知り、実施種目の一つであるカヌースプリントに本格的に専念するようになった。現在は、カヌースプリントの練習のため、乗艇・ウェイトトレーニング・バイク・ランニング・銭湯などのトレーニングを毎日欠かさず行っている。現在60歳。マスターズを盛り上げることで、カヌーの未来を元気にしていく。
Facebookはこちら → https://www.facebook.com/tsuyoshi.kariya
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