【vol.1】エルゴのメリット ~不定期連載~
先日、皆様のおかげで、第3回オンラインエルゴ選手権大会を無事開催することができました。
オンラインエルゴ選手権大会の様子は、こちらからご覧いただけます。
全国の皆さんが、エルゴを一斉に漕いで各々のベストを尽くしているところを見るのは圧巻でした。
オンライン大会のため、誰かと直接競っている感覚は水上と比べて難しかったのかもしれませんが、自己ベストを更新した選手がたくさんいたとのことで、うれしく思います。
さて、実際にエルゴ大会を通じて、エルゴの重要性を再確認したという声も多く聞きました。
エルゴに関して、情報を発信していこうと思います。 不定期になるかもしれませんが…)
第1回となる今回は、エルゴのメリットやセッティングについてご紹介します。
エルゴとは?
まず、「エルゴ」とはエルゴメーターの略で、自転車エルゴ、ローイングエルゴ等、各スポーツの動きに近い動きをしながらペダル等にかかる負荷を変化させることができ、トレーニングを行う機会の総称です。
カヌーでは、「カヌーエルゴ」「カヤックエルゴ」として各社から商品が出ています。水上に出ることが難しい/できない場合のトレーニングや、身体や技術を鍛えるトレーニングのための器具として活用されています。
他のカヌーギアと同じく、とくにヨーロッパで様々なメーカーから販売されています。エルゴにはデジタルディスプレイがついているものが多く、漕ぐときの負荷(ワット)や回転数(ピッチ)によって、速度が計算され、あらかじめ設定された距離やタイム等の測定にも使用することができます。
カヌーホームでは、Dansprint社のエルゴを主に用いて、大会などを開催しています。
エルゴならではのメリット
エルゴは、実際に水上でカヌーに乗ることと異なるポイントがいくつかあります。例えば…
①風や波に応じてバランスをとる必要がない
②風や波に左右されない数値測定ができる
③エルゴトレーニングで得られた数値から、水上でのパフォーマンス推定などができる
順番に見ていきます。
①風や波に応じてバランスをとる必要がない
水上では、水に浮かぶ艇の上で常に「バランスをとること」が必要です。カヌーホームのハンドブックSTEP1でも紹介をしている通り、「バランスをとること」は、体力、テクニック、メンタルと並ぶとても重要な要素の1つです。
バランスがとれているという状態は、単に「艇に乗っかっている」状態ではなく、「艇に乗って、自分のパフォーマンスを最大限発揮できるくらい安定している」ことを指します。つまり、バランスをとることがカヌーに乗るうえでの土台となり、テクニックや体力を発揮することができます。
カヌーの上でバランスをとる練習はしっかりと行う必要がありますが、それらを気にせず、テクニックや体力要素を鍛えることができるのがエルゴのメリットの1つです。
デンマークのフィン・ラ―センコーチはかつて、「夏にレースで勝ちたいなら、水上に出るのではなくエルゴで練習をしましょう。水上に出るのは気晴らしをするときです」と話していました。極端な例かもしれませんが、それほどまで、エルゴでは追い込んだ練習ができます。
②風や波に左右されない数値測定ができる
①のメリットと似通っている部分ですが、エルゴでは自然の状況に左右されないので、その時々の選手のパフォーマンスがはっきりと出てきます。追い風・向かい風など風向きによる結果の違いや、波にあおられてバランスを崩してしまうといったことがないため、500m×10本の練習を行ったとき、純粋に選手の実力が反映されます。
このように、数値がはっきり出てくることで、昨日の練習と今日の練習の比較ができ、日々の練習を重ねていくことで、成長を追うことができます。
③エルゴトレーニングで得られた数値から、水上でのパフォーマンス推定などができる
これについて、②で得られる数値は、タイムだけではなくワットやピッチ数、測定した距離間での速度変化など様々なデータがあります。現在、Dansprint社のエルゴを用いたデータの蓄積が進んでいます。
一定のテストで得られた数値をソフトに当てはめることで、その選手が水上でどれくらいのタイムを出すか推定することができるようになっています。
そのタイムと実際に水上で出せるタイムの違いによって、テクニックの巧拙も把握でき、その後のトレーニングに活かすことが可能です。
思いのほか長くなってしまいました。
今回は、
エルゴとは?
エルゴのメリット
について取り上げました。
次回の記事では、エルゴのセッティング方法をご紹介します。
今後も、エルゴのトレーニング方法や測定など、様々な観点からご紹介をしていきたいと思います。
引き続きよろしくお願いします(^^)/
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