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岩手県 取材(御所湖にて)

【カヌー競技地を訪ねて、日本一周!vol.25 岩手県】

スプリント           御所湖
スラローム・ワイルドウォーター 奥州いさわカヌー競技場

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岩手県といえば、おととし国体が開催された地です。
岩手県カヌー協会事務局の西野さんにお話をお伺いしました。

岩手県では、1970年に一巡目国体が開催されました。
そのときに、矢巾町役場の職員を中心にカヌー競技が普及し盛岡市の御所湖にカヌー練習場などが整備され日本選手権も開催されました。
また、同じく奥州市にある胆沢ダムが建設されるタイミングに、川の競技ができるよう配慮してコースを作ってもらったそうです。

 

岩手国体のスプリント競技が開催された御所湖は、約20kmの周囲をぐるりと、艇庫、温泉、また各種公園などに囲まれています。
酷暑の時期であっても、日陰に行けば、自然の中で心地の良い時間を過ごすことができます!
夏場は常時、一般の方のカヌー体験も可能で、300円前後で水上散歩ができますよ。

一方、東北各県に共通であるように、冬季の乗艇練習はできません。
御所湖近辺では、11月中旬ごろから雪が降り始めるため冬場はエルゴなどの陸トレがメインになるようです。
 
また、岩手県の選手の特徴として、高校から競技を始める選手がほとんどのため大学に行ってから競技力が伸びる選手も多いとのこと。
県内唯一のカヌー部がある不来方高校では、小野幸一先生が赴任されてから、特に女子選手の活躍が目立つようになりました。
不来方高校の選手は、卒業後も関東の大学を中心に進学をする選手が増えてきて、西野さん曰く、高校生の時と違って冬場に練習ができるようになる変化が良い方向に働いているのかもしれないということです。
 
そして、忘れてはならないのが東日本大震災。
この頃、不来方高校は、陸前高田市のB&G施設に艇を置き、冬場の乗艇練習を行っていました。
これも、御所湖では冬場にできない乗艇練習の不足を補うために小野先生が手配をされた練習場でした。

震災の一週間前も、奇跡の一本松付近の練習場で練習を行っていたそうです。
結局当日は練習を行っていませんでしたが、艇庫ごと流され、甚大な被害を受けました。
時期は香川の大会を目前に控えた3月です。
当面の生活や復興を目の前にしながら、カヌーを続けるか迷った選手もいました。
水とは切っても切れない競技でもあり、大変な葛藤だったのではないでしょうか。

結局、艇がすべてなくなってしまった中で、秋田や青森から艇を借りて練習ができるようになり、それが新聞に載り、記事を見た宮古在住のシーカヤッカーの方が、練習用にとネロ艇を不来方高校に貸してくださったそうです。
ご自宅が津波の被害を受けながらも、運良く残った一艇でした。(写真の黒い艇です)


そして、インターハイや国体などでも、全国の方からの支援を受け、少しずつ前に進み始めました。

地震等多くの天災を避けては通れないのがこの国ですね。
しかし、それにもかかわらず時間とともに薄れてしまいがちな痛みがあります。
きっとまたいつ同じようなことが起こりかねないと、備えましょう。

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